炭水化物(糖)の正体。糖質制限ダイエットはあり?

ウェルネス

短期的に減量効果があるダイエット戦略として人気の「糖質制限ダイエット」。実際のところ、糖質制限は安全なのだろうか。最新の研究も含めて、話題の論争に触れていきたい。

糖質+食物繊維=炭水化物

炭水化物は、脂質、たんぱく質と並ぶ「三大栄養素」の一つであり、私たちの重要なエネルギー源となっている。炭水化物は大きく分けると、体内に吸収されてエネルギーとなる「糖質」と消化吸収されずにエネルギーにならない「食物繊維」とに分けることができる。一般的に炭水化物と表現するときには糖質を指していることが多い。

糖質とは

日常生活やスポーツなどの身体活動に使われるエネルギー源は、脂質と糖質だが、糖質は酸素を使わずにエネルギーになり、最も早くエネルギーとして使われるという特徴がある(1gあたり4kcal)。筋力トレーニングや短距離走などの無酸素運動の主なエネルギー源はこの糖質であり、これらが無酸素運動と呼ばれるのはこのためだ。

糖質が豊富な食べ物を口に入れると、小さじ一杯程度の糖が血中に加わり、血糖が上昇する。消化管から血中へと糖が移動すると、カラダは糖をエネルギーへと変換し、使用できる組織へと移動させるのだ。糖質は、1個または2個の単糖類からなる「糖類」と、3個~9個の単糖類から構成される「少糖類」と、10個以上の単糖類からなる「多糖類」などに分かれる。

食物繊維とは

食物繊維は、消化吸収されないという特性があり、炭水化物の一部ではあるものの、エネルギー源として使われるのではなく、便秘の予防や血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下などの生理機能としての役割を果たす。食物繊維は、多くの日本人が不足気味であると言われており、積極的に摂ることが勧められている。玄米ごはんや麦ごはんなどの穀類、豆類、野菜類、きのこ類、藻類などに多く含まれている。

人気の「糖質制限ダイエット」

糖質制限ダイエットは、肥満や糖尿病の改善を目的に、炭水化物の摂取量を制限する食事療法の一つ。「低炭水化物ダイエット」や「ロカボ(ローカーボ・ダイエット)」なんて呼んだりもする。どこまで減らすのが糖質制限なのかという明確な定義はないが、一般的には1日の糖質量を70~130gほどに抑えるというものが多い。炭水化物の摂取量を減らす代わりにたんぱく質や脂質を積極的に食べることができるため、空腹感をそれほど感じることなく続けられるダイエットといえる。

糖質制限ダイエットはあり?

短期的に減量する効果があるため、人気のダイエット戦略として広まっている「糖質制限ダイエット」だが、健康に対する長期的な影響については、わかっていないことが多く、安全性においては専門家の意見も肯定派と否定派に意見が分かれている。

そこで、炭水化物の摂取量と死亡率との関係を調べた有名な研究がある。1万5000人に及ぶ45ー64歳の人を対象に、25年にわたって追跡した興味深い内容だ。この論文は2018年に米 ハーバード大学によって発表され、最も評価の高い世界五大医学雑誌の一つである「LANSET」のオンライ版にも掲載された。

「摂りすぎ」と「摂らなすぎ」は..

この研究によると、食事パターンが、低糖質(食事から摂取するエネルギーの40%未満)と高糖質(食事から摂取するエネルギーの70%以上)の人たちは、死亡率が高かったと報告されている。死亡リスクが最も低かったのは、ちょうど中程度の摂取量(食事から摂取するエネルギーの50~55%。)の人たちであった。つまり、糖質の過剰摂取と糖質制限は、カラダに毒である可能性が高いという結果になったのだ。

糖質制限する場合は、植物性の栄養を中心に

通常、糖質制限ダイエットでは、糖質を制限すれば、肉などの脂肪も自由に摂っていいとされている。しかし、糖質を牛肉や鶏肉などの動物性の栄養を中心とする食事に置き換えた場合、死亡率が最も高かったことが報告されている。

一方、糖質を豆類や野菜、穀類などの植物性の栄養を中心とする食事に置き換えた場合は、死亡リスクが低かったのだ。この研究によると、低糖質の人は、動物性の栄養を多く摂取する傾向があるようで、ダイエットのために糖質制限をしたいという人は、豆類や野菜、穀類などの植物由来の食事を意識的に摂取していくことがベターかもしれない。

1日の炭水化物の摂取基準

前にも紹介したように、最も死亡率が低かった糖質の摂取量は、食事から摂取するエネルギーの50~55%であった。厚生労働省が勧める日本人の摂取基準も50~65%となっており、それと近いものになっている。50~55%というと、身体活動レベルがスタンダードの18~29歳の男性で1日約331g~365g、同じく女性で約244g~268gとなる。ちなみに白いごはん茶碗1杯分で約55gほどの糖質があるとされている。

※厚生労働省ー日本人の食事摂取基準(2015年版)に基づいて計算

参考文献

厚生労働省 炭水化物

e-ヘルスネット 食物繊維の必要性と健康

Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis. Sara B Seidelmann,MD ・ Brian Claggett,PhD ・ Susan Cheng,MD ・ Mir Henglin,BA ・ Amil Shah,MD ・ Lyn M Steffen,PhD ・ et al. VOLUME3,ISSUE9,E419-E428,SEPTEMBER01,2018