脂肪=“悪”ではない!元気なカラダを保つ上で「適度な脂肪」が役立つ理由

ウェルネス

多くの人を悩ませる”脂肪”。勝手に自分のカラダのフォルムを変えて不健康にしていくだけで、とてもカラダに役立つものだとは思えない。

多くの人は脂肪に対してこのようなイメージを持っているのではないだろうか。

自分を責めがちなダイエットも、脂肪の働きについて知ることで、今の自分を否定することなく、ポジティブな気持ちでダイエットに取り組めるはず。

今回は、脂肪のイメージがコロッと変わるような脂肪の働きについて解説していきたい。

2種類の脂肪細胞

カラダの中にある脂肪は、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞に分けることができる。

蓄える”白色脂肪細胞

私たちが一般的にいう「体脂肪」の元となるのが、この白色脂肪細胞だ。白色脂肪細胞は、食事によって過剰となり、血液中に流れている中性脂肪などの脂質や糖を取り込み、エネルギーとして蓄える。脂肪を蓄えた白色脂肪細胞は球体に膨らみ、徐々に肥大していくことで、私たちのカラダのフォルムを変形させていく。これがいわゆる「体脂肪」で、皮下組織に蓄積されたケースを「皮下脂肪」といい、内臓に蓄積されたケースを「内臓脂肪」と呼ぶのだ。

”燃やす”褐色脂肪細胞

一方、褐色脂肪細胞は、白色脂肪細胞とは全く反対の役割を果たす。私たちにとってあまり馴染みのない脂肪かもしれない。主に、胸部や肩甲骨周辺に存在しており、白色脂肪細胞を燃焼して、熱に変換し、消費カロリーを増加させる役割を果たす。

褐色脂肪細胞は、乳幼児のときに多く存在し、体温維持の機能を果たしている。成長とともに筋肉が増え、基礎代謝の役割を筋肉が担当することにより、褐色脂肪細胞が活躍する機会は徐々に減っていき、加齢により徐々に減少していくのだ。褐色脂肪細胞の発熱能力は、筋肉の70~100倍といわれており、褐色脂肪細胞の機能低下や数の減少が肥満を引き起こすことが研究によってわかっている。

脂肪の役割

私たちを悩ませるのは、白色脂肪細胞だということは既に紹介した。ここではその白色脂肪細胞が私たちが元気に生きるために重要な理由をいくつか紹介していきたい。

1:カラダのエネルギーとなる。

走ったり、重いものをもったりするときには車のガソリンと同じように、動くためのエネルギーが必要になるが、脂肪もエネルギーとなる。白色脂肪細胞は、カラダに脂肪を蓄えるだけでなく、エネルギーが必要になったときに自らの脂肪を分解して、遊離脂肪酸とグリセロールという形になり、エネルギーとして全身に供給するのだ。

2:体温を保つ

脂肪は熱を伝えにくいため、カラダの断熱材としての機能を果たす。私たちが寒さに負けないように、体温を保つのだ。

3:女性ホルモンを活動させる。

白色脂肪細胞は、女性ホルモンが活動できるようにするための変換機能をもつが、脂肪を取り込んでいない白色脂肪細胞は、この機能を果たせなくなり、女性ホルモンの分泌が減り、生理不順など様々な問題を引き起こしてしまう。

4:内臓の位置を保つ。

脂肪は、内臓の位置を保つ、いわばパッキングのような役割を果たしている。そのため痩せすぎると、内臓の本来の位置が保たれなくなり、カラダの不調を起こしてしまう場合がある。胃下垂は痩せている人に多いといわれているが、これは胃が垂れ下がることで、食べ物を消化し、腸に運ぶための機能が低下してしまうからだ。

5:炎症を抑える。

白色脂肪細胞は、「アディポサイトカイン」というタンパク性の因子を分泌する機能があるが、アディポサイトカインの善玉物質「アディポネクチン」には、糖尿病や動脈硬化などの炎症を抑制する機能がある。このアディポネクチンの機能は世界的にも注目されている。

脂肪=”悪”になるとき

元気なカラダを保つために、様々な役割を果たす脂肪だが、食事の過剰摂取によって白色脂肪細胞が肥大化し、数が多くなるとカラダに悪影響を及ぼしてしまう。例えば、内臓脂肪の増加によって、アディポネクチンの分泌量が低下してしまう。さらに、アディポサイトカインの悪玉の分泌が増えることで高血圧や糖尿病、高脂血症を促進してしまうのだ。

適度な体脂肪率は、成人女性が30%、成人男性は25%を超えると体脂肪量増加といわれている。脂肪を減らしすぎたり、増えすぎないように注意しながら、適度な脂肪量を保つことでカラダは本来の機能を果たせるようになるのだ。

参考文献

京都大学大学院農学研究科教授 河田照雄「脂肪細胞の正体