【筋肥大のメカニズム】筋肉を大きくするために大事なポイントとは

ウェルネス

筋肉を大きく成長させたいのなら、トレーニングよりもまず、その仕組みについて理解しておく必要がある。筋肥大のメカニズムや筋肉を大きくするコツについて、わかりやすく解説していきたい。

筋肥大のメカニズム

私たちのカラダには元々、ストレスに適応する能力が備わっている。骨は衝撃を受けると強くなり、心肺機能は有酸素運動を行うと向上する。筋肉も同じように、ストレスを受けることで発達する。

トレーニングによってストレスを受けた筋肉は、もっと太く、強くなる必要性を感じて成長する。これが筋肥大だ。筋肥大を誘発するストレスは主に4つ。それらの要素が作用することでトレーニングの効果が出るとされている。

筋肥大に重要な4つのストレス

メカニカルテンション(機械的張力)

メカニカルテンションとは、トレーニングによって筋肉にかかる「張力(テンション)」のこと。この張力が筋肉にとってストレスとなり、カラダは今よりもっと筋肉を大きくしようとするのだ。実際に筋肉は、何らかのストレスを与え続けていないとやせ細ってしまう。大きなケガでギプスを装着した人なら経験したことがあるだろう。

マスキュラーダメージ(筋ダメージ)

トレーニングで筋肉の収縮を繰り返すと、筋繊維に微細なダメージが生じる。このダメージに対して、免疫システムが修復を促し、筋肥大へとつながるのだ。また、このダメージは、「エキセントリック運動」によって生じることがわかっている。これは、関節を伸ばしてバーベルやダンベルを下ろしているときの動作のこと。この運動のときに筋肉が損傷するというわけだ。

メタボリックストレス(代謝ストレス)

トレーニングで筋肉の収縮を繰り返すと、乳酸、水素イオン、クレアチンなどの代謝物が蓄積される。これらの代謝物の蓄積が筋肉にとってストレスとなり、成長ホルモンやテストステロンなどの筋肥大を誘発するホルモンの分泌を促進することで、筋肥大につながるというもの。筋トレ直後に筋肉が一時的に膨張する「パンプアップ」もこの代謝物の蓄積によって起こるもの。パンプアップは、どれだけカラダに効いているかという指標の一つにもなるのだ。

筋肉の虚血

「虚血」とは、十分に血液がいきわたっていない状態のこと。血液には酸素を運搬する役割があるが、筋肉に力が入っている状態が続くと、血管が圧迫されて、筋肉への酸素供給が不足する。低酸素状態では、主に酸素を使ってエネルギーを生み出す「遅筋」が使われにくくなり、筋肥大しやすい「速筋」が優先的に使われるようになるため、筋肥大を誘発するのだ。

筋肥大を狙うときに大事なポイント

ウエイトを使い分けよう。

以前までは、高重量でトレーニングすることが筋肥大にとって重要であると信じられていた。しかし最近の複数の研究によると、セット数とレップ数を増やすことがでできれば、軽重量でも高重量と同程度の効果が期待できるとされている。ただし、軽重量でばかりトレーニングしていると、筋肉が負荷に慣れてしまい、筋ダメージを与えられなくなる。これによってある程度のところまで成長すると、頭打ちになってしまうのだ。筋肉が負荷に慣れてしまわないように、同じ重量ばかりに取り組むのではなく、軽重量、中程度の重量、高重量をうまく使い分けていくことが大切だ。

適したトレーニングを選択する。

トレーニングには実に様々な種類のものがあり、鍛えたい部位に対してどのトレーニングを選択するのかというのも筋肥大に関わる重要な要素。例えば、ベンチプレスでは、手幅を狭くすると大胸筋の内側と上腕三頭筋が鍛えられ、手幅を広くすると大胸筋の外側が鍛えられるようになっている。このように筋肉を細分化し、その部位に対して適切なトレーニングを選択することで筋肥大を最大化することができるのだ。

インターバルは適度に。

適度な休息は、筋力の回復と代謝の増加を誘発し、筋肥大の可能性を高める。セット間の休憩間隔は、短い(30秒以下)、中程度(60~90秒)、長い(3分以上)の3つのカテゴリに分けることができる。「短い休憩」は、筋力が回復するのに十分ではなく、その後のセットでの筋パフォーマンスが著しく損なわれてしまう。「長い休憩」は、筋力の回復に役立ち、メカニカルストレスも最大化されるが、代謝ストレスは低下してしまう。そのため、「中程度の休憩」が、筋肥大に良いとされている。研究によれば、アスリートの筋力の大部分は、セットの中止後、最初の1分以内に回復すると報告されている。

ノンロック法で行おう。

ノンロック法とは、関節を伸ばし切らないで行うトレーニング法。例えば、スクワットで立ち上がるときに、膝を最後まで伸ばし切ってしまうと、足の筋肉を十分に発揮せずともウエイトを保持できてしまう。これは負荷が抜けている状態で、筋肉には力が入っていない。この膝を最後まで伸ばし切らないで行うのがノンロック法。ノンロック法で行い、常に筋肉が力を発揮し続けているようにして行うことで、筋肉が虚血状態となり、筋肥大を誘発するのだ。

筋肥大に重要なのはトレーニングだけではない。

とはいえ、筋肉にストレスをかけるだけでは筋肥大できない。バランスの摂れた食事、休養、遺伝も筋肥大に関わる。

睡眠

トレーニングによってダメージを受けた筋肉の修復作業は、休養時、特に寝ている間に行われる。 効率的に筋肉を大きくさせるためには良質な睡眠を取ることが大切だ。

食事

食事やプロテインなどから摂取したたんぱく質は、アミノ酸というかたちで筋肉量の維持に役立っている。十分なタンパク質を摂取すれば、インスリンや様成長因子やテストステロンなどの体内で生成されるホルモンと相まって、カラダは筋組織が修復・成長される状態へと変わる。

遺伝子

性別や年齢も筋肉の修復メカニズムに関わってくる。テストステロンの多い若い男性(20代がピーク)が他の人と比べて筋肉をつけやすいのはこの為だ。遺伝的要素も筋肉の成長に一役買っている。中でも筋肉のダメージに対して、強靭な免疫反応を持ち、すばやく筋繊維の修復を行うことができる人はより筋肉を成長させやすい可能性を秘めている。

参考文献

The Mechanisms of Muscle Hypertrophy and Their Application to Resistance Training / Schoenfeld,Brad J / Journal of Strength and Conditioning Research : October 2010-Volume24-Issue10-p 2857-2872doi: 10.1519