意外と知られていない「筋肉痛」の正体。原因と正しい予防・対処法

ウェルネス

激しい運動を行った数日後に現れる痛み「筋肉痛」。そんな筋肉痛は、私たちにとって身近であるにも関わらず、意外と知られていないことも多い。今回は、筋肉痛の原因やメカニズム、予防、対処法など詳しく解説していきたい。

筋肉痛とは

筋肉痛には、急性のものと遅発性のものがあり、一般的に多くの人がイメージしている「筋肉痛」は、後者の遅発性のものだ。

正確には、「遅発性筋肉痛(DOMS:Delayed Onset Muscle Soreness)」と呼ばれる。筋肉痛は、運動後1日~2日後に生じる痛みで、3~10日以内に消失する。主な症状には、痛み、筋肉の硬直、腫れ、関節可動域の減少などがある。

筋肉痛が出やすい運動

慣れていない運動

筋肉痛は、不慣れな動作を行ったときに生じることが多い。筋トレやランニングなどで日々鍛えている人でも、普段やらないフットサルやバスケットボールなどのスポーツを行うと、筋肉痛が強く出たりする。

これは、筋力が弱いのではなく、不慣れな動作を行ったことで、普段使わない筋肉が刺激され、起こるものとされている。

伸張性収縮(エキセントリック収縮)

運動には、筋肉痛が出やすい動作というものがある。筋肉が力を発揮するための「収縮」には2タイプあり、力を発揮しながら伸ばす「伸張性収縮(エキセントリック収縮)」と、収縮しながら力を発揮する「短縮性収縮(コンセントリック収縮)」がある。

例えば、ダンベルを持ち、曲げたヒジをゆっくり伸ばすときの上腕二頭筋は前者であり、腕を曲げるときの上腕二頭筋は後者だ。筋肉痛は、エキセントリックの収縮様式を用いた運動後に生じやすいといわれている。

筋肉痛のメカニズム

実際のところ、筋肉痛の詳しいメカニズムについては未だ解明されておらず、諸説様々な形で述べられている。現時点では、不慣れな運動や遠心性収縮を伴う運動によって起こる3つの反応によるものだと考えられている。

  1. 筋繊維とその周りの結合組織の損傷
  2. 筋肉の回復過程において筋損傷後の炎症が原因で内因性発痛物質が放出し、痛覚受容器を興奮させることで起こる。
  3. 炎症反応に伴う血管の拡張によって血管壁が引き伸ばされることによって起こる。
  4. 筋温上昇による熱刺激

また最新の研究では、神経の圧迫によって引き起こされるものではないかとも言われている。

筋肉痛が出なくても筋力は向上する。

「痛み」というのは、わかりやすい指標ではあるため、「筋肉痛=トレーニングの効果がある」と考えてしまう人も多いだろう。

確かに、筋肉痛が出るということは、しっかりと筋肉を使えている証拠にはなるが、トレーニングの効果を直接的に表すものではない。

前にも紹介したように、筋肉痛は、不慣れな運動やエキセントリック収縮を伴う運動を行った時に生じやすい。慣れている負荷での運動や筋肉痛が生じにくい運動を行えば、筋肉痛が生じないこともあるのだ。

「no pain , no gain(痛みなくして得るものなし)」。トレーニングに関して言えばこれは大きな誤解だ。筋肉痛が出なくても、トレーニングの効果がなかったのではないかと心配する必要はない。

筋肉痛の予防・対策

1:普段から筋肉を動かす。

運動不足も筋肉痛の原因の一つ。ランニングや筋トレ、そのほか自分が好きなスポーツを存分に楽しんで筋肉を動かしてあげよう!

2:アイシング

運動直後に「アイシング」をすることで、筋肉の炎症を抑え、痛みを軽減する効果が期待できる。ポイントは運動直後に行うこと。筋肉痛が発症してからでは遅いようだ。

また、運動前のアイシングにも効果がないことがわかっている。いつもより激しい運動をした後は、特に筋肉痛が生じやすいので、アイシングで予防しよう!

3:ウォームアップを行おう。

運動前には必ず、ウォーミングアップを行うようにしよう。ウォーミングアップを行わずに、急激に筋肉に負荷がかかると、筋肉痛を引き起こす確率が高くなる。

運動を開始する前に、軽いストレッチや体操などで柔軟性を高め、その後、ランニングや低負荷のトレーニングを行い、段階的に筋肉に負荷をかけていくことが大切だ。

4:クールダウンを行おう。

運動後にクールダウンを行うことで、血流を促し、疲労回復を促進できる。頑張った自分のカラダへのご褒美として、クールダウンを行い、疲労を残さないようにしよう。

5:マッサージ

筋肉痛に対するマッサージの効果を調べた多くの研究では、疲労感と痛みにおいて有意な効果があったと報告されている。

セラピストにやってもらうような本格的なマッサージでなくても、自分で揉んだり、さすったりするだけでもOK。フォームローラーによる筋膜リリースなども手軽でいいだろう。

6:運動前にBCAAを摂取する。

「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」は、筋肉痛に効果的だということがわかっている。BCAAは、牛肉やマグロの赤身などに含まれるアミノ酸だ。

BCAAには、筋肉の修復を促し、筋肉中のたんぱく質の分解を抑止する働きがあると言われている。筋肉痛への効果には、運動後よりも運動前の摂取が効果的。

運動前と運動後のBCAAの効果を調べた比較実験では、運動前に摂取したほうが、効果的だったと報告されている。運動前に食事でBCAAを摂取することは困難であるため、サプリメントなどで手軽に摂取しておくといいだろう。

参考文献

・カフェイン摂取が遅発性筋肉痛及び筋硬度に及ぼす影響 村田芳久 , 斎藤健 北海道教育大学紀要 自然科学編 , 66(1) : 19-28(2015)

・Have We Looked in the Wrong Direction for More Than 100 Years? Delayed Onset Muscle Soreness Is , in Fact , Neural Microdamage Rather Than MUscle Damage. Balazs Sonkodi , Istvan Berkes , Erika Koltai 9(3),212(2020)

・遅発性筋肉痛および運動誘発性筋損傷研究における予防・対処法に関する文献的知見 川岡巨昭 , 小野寺昇 , 詫間晋平 川崎医療福祉学会誌 Vol.17 No.1 247-262(2007)